交通事故の損害の種類は、大きく「人身損害」と「物的損害」に分かれ、さらに人身損害は、「積極損害」と「消極損害」、「慰謝料」に分かれます。

ここでは消極損害に含まれる年金受給者と逸失利益除の関係について解説していきます。

年金受給者と逸失利益の関係

年金を受給していたものが事故により死亡した場合、年金について逸失利益が認められるかが問題となります。

各種年金には、国民年金(基礎年金)を基礎とし、その上乗せとして以下のものがあります。

  1. 老齢・退職年金(年金の保険料を納付してきた本人が老齢になり又は退職した場合に支給される給付)
  2. 障害年金(本人が所定の後遺障害等級に該当する場合に支給される給付)
  3. 遺族年金(本人が死亡したときにその遺族に支給される給付)

具体的に該当する年金

  老齢・退職年金 障害年金 遺族年金
国民年金 老齢基礎年金 障害基礎年金 遺族基礎年金
厚生年金 老齢厚生年金 障害厚生年金 遺族厚生年金
共済年金 退職共済年金 障害共済年金 遺族共済年金

逸失利益性が認められるかは、次の事柄に基づいて判断されます。

  • 当該年金給付の目的
  • 拠出された保険料と年金給付との間の対価性
  • 年金給付の存続の確実性

なお、上記内容はすでに年金を受給していた者が死亡した場合です。

未だ年金を受給していない者について、年金の逸失利益性を認めることができるかどうかを示した最高裁判所の判例はなく、裁判例は分かれています。

老齢・退職年金

老齢退職年金について、逸失利益性は認められます。

老齢・退職年金に関する主な判例

[最判昭和41年4月7日民集20巻4号499頁]

国の公務員であったものが一定期間勤務した後退職したことを要件として支給を受ける普通恩給は、当該恩給権者に対して損失補償ないし生活保障を与えることを目的とするものであるとともに、その者の収入に生計を依存している家族に対する関係においても、同一の機能を営むものと認められる。

そして、恩給を受けていたものが死亡したときには、これにより生計を維持し、又はこれと生計を共にしていた一定の遺族に扶助料が支給されるが、右扶助料は右遺族に対する損失補償ないし生活保障の目的を持って給付されるものであることは明らかである。

[最判昭和50年10月21日裁判集民116号307頁]

国の公務員であった者が一定期間勤務した後退職したことを要件として支給を受ける普通恩給は、当該恩給権者に対して損失補償ないし生活保障を与えることを目的とするものであるとともに、その者の収入に整形を依存している家族に対する関係においても、同一の機能を営むものと認められるところ、地方公務員等共済組合法に基づく退職年金は、前期普通恩給とその趣旨・目的を同じくするものと解されるから、右退職年金が当該公務員本人及びその収入に依存する家族に対する生活保障のみならず損失補償の性格を有するとした原審の認定判断は、正当として是認することができる。

[最判昭和50年10月24日民集29巻9号1379頁]

国家公務員は、一定期間勤務した後退職した場合、国家公務員等退職手当法による退職手当及び国家公務員共済組合法による退職給付の支給を受けることができるのであるから、右のような公務員が他人の不法行為によって死亡した場合、同人は加害者に対し、生存していたならば得ることのできた給与、退職手当及び退職給付の合計額からその生活必要経費及び中間利息を控除した額について損害賠償債権を取得し、その相続人は相続分に応じて右死亡した者の損害賠償債権を相続するのである。

[最判昭和59年10月9日裁判集民143号49頁]

公務員であった者が支給を受ける普通恩給は、当該恩給権者に対して損失補償ないし生活保障を与えることを目的とするものであるとともに、その者の収入に生計を依存している家族に対する関係においても、同一の機能を営むものと認められるから、他人の不法行為により死亡した者の得べかりし普通恩給は、その逸失利益として相続人が相続によりこれを取得するものと解するのが相当である。

[最大判平成5年3月24日民集47巻4号3039頁]

地方公務員等共済組合法に基づく退職年金を受給していた者が不法行為によって死亡した場合には、相続人は、加害者に対し、退職年金の受給者が生存していればその平均余命期間に受給することができた退職年金の現在額を同人の損害として、その賠償を求めることができる。

[最判平成5年9月21日裁判集民169号793頁]

公務員であった者が支給を受ける普通恩給は、当該恩給権者に対して損失補償ないし生活保障を与えることを目的とするものであるとともに、その者の収入に生計を依存している家族に対する関係においても、同一の機能を営むものと認められるから、他人の不法行為により死亡したものの得べかりし普通恩給は、その逸失利益として相続人が相続によりこれを取得するものと解するのが相当である。
そして、国民年金法に基づいて支給される国民年金(老齢年金)もまた、その目的・趣旨は右と同様のものと理解されるから、他人の不法行為により死亡した者の得べかりし国民年金は、その逸失利益として相続人が相続によりこれを取得し、加害者に対してその賠償を請求することができるものと解するのが相当である。

障害年金

障害年金について逸失利益性は認められますが、過給分については逸失利益性が否定されます。

障害年金に関する主な判例

[最判平成11年10月22日民集53巻7号1211頁]

国民年金法に基づく障害基礎年金も厚生年金保険法に基づく障害厚生年金も、原則として、保険料を納付している被保険者が所定の障害等級に該当する障害の状態になったときに支給されるものであって、程度の差はあるものの、いずれも保険料が拠出されたことに基づく給付としての性格を有している。

したがって、障害年金を受給していた者が不法行為により死亡した場合には、その相続人は、加害者に対し、障害年金の受給権者が生存していれば受給することができたと認められる障害年金の現在額を同人の損害として、その賠償を求めることができるものと解するのが相当である。

そして、亡Aが本件事故により死亡しなければ平均余命まで障害年金を受給することのできた蓋然性が高いものとして、この間に亡Aが得べかりし障害年金相当額を逸失利益と認めた原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして是認するに足りる。

もっとも、子及び妻の過給分については、これを亡Aの受給していた基本となる障害年金と同列に論ずることはできない。

すなわち、国民年金法第33条の2に基づく子の過給分及び厚生年金保険法第50条の2に基づく配偶者の過給分は、いずれも受給権者によって生計を維持している者がある場合にその生活保障のために基本となる障害年金に加算されるものであって、受給権者と一定の関係がある者の存否により支給の有無が決まるという意味において、拠出された保険料等の牽連関係があるものとはいえず、社会保障的性格の強い給付である。

加えて、右各過給分については、本人の意思により決定し得る事由により加算の終了することが予定されていて、基本となる障害年金自体と同じ程度にその存続が確実なものということもできない。

これらの点に鑑みると右各過給分については、年金としての逸失利益性を認めるのは相当でないというべきである。

遺族年金

遺族年金について、逸失利益性は否定されます。

遺族年金に関する主な判例

[最判平成12年11月14日民集54巻9号2683頁]

遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者又は被保険者であった者が死亡した場合に、その遺族のうち一定の者に支給されるものであるところ、その受給権者が被保険者又は被保険者であった者の死亡当時その者によって生計を維持した者に限られており、妻以外の受給権者については一定の年齢や障害の状態にあることなどが必要とされていること、受給権者の婚姻、養子縁組といった一般的に生活状況の変更を生ずることが予想される事由の発生により受給権が消滅するとされていることなどからすると、これは、専ら受給権者自身の生計の維持を目的とした給付という性格を有するものと解される。

また、右年金は、受給権者自身が保険料を拠出しておらず、給付と保険料との牽連性が間接的であるところからして、社会保障的生活の強い給付と言うことができる。

加えて、右年金は、受給権者の婚姻、養子縁組など本人の意思により決定し得る事由により受給権が消滅するとされていて、その存続が必ずしも確実なものということもできない。

これらの点に鑑みると、遺族厚生年金は、受給権者自身の生存中その生活を安定させる必要を考慮して支給するものであるから、他人の不法行為により死亡した者が生存していたならば将来受給し得たであろう右年金は、右不法行為による損害としての逸失利益には当たらないと解するのが相当である。

また、市議会議員共済会の共済給付金としての遺族年金は、市議会議員又は市議会議員であった者が死亡した場合に、その遺族のうち一定の者に支給されるものであるが、受給権者の範囲、失権事由等の定めにおいて、遺族厚生年金と類似しており、受給権者自身は掛金及び特別掛金を拠出していないことからすると、遺族厚生年金とその目的、性格を同じくするものと解される。

したがって、遺族厚生年金について述べた理は、共済給付金たる遺族年金においても異なるところはない。

軍人恩給としての扶助料

軍人恩給としての扶助領とは旧、軍人または旧準軍人が死亡した場合に、その遺族のうち一定の者に対して支給されるもので、逸失利益性は否定されます。

軍人恩給としての扶助料に関する主な判例

[最判平成12年11月14日裁判集民200号155頁]

恩給法の1部を改正する法律附則第10条に基づく扶助料は、旧軍人又は旧準軍人が死亡した場合に、その遺族のうち一定の者に支給されるものであるところ、成人の子については重度障害の状態にあって生活資料を得る途がないことが必要とされていること、受給権者の婚姻、養子縁組といった一般的に生活状況の変更を生ずることが予想される事由の発生により受給権が消滅するとされていることなどからすると、専ら受給権者自身の生活の維持を目的とした給付という性格を有するものと理解される。

また、扶助料は、全額国庫負担であり、社会保障的性格の強い給付ということができる。

加えて、扶助料は、受給権者の婚姻、養子縁組等本人の意思により決定し得る事由により受給券が消滅するとされていて、その存続が必ずしも確実なものということもできない。これらの点に鑑みると、扶助料は、受給権者自身の生存中その生活を安定させる必要を考慮して支給するものであるから、他人の不法行為により死亡したものが生存していたならば将来受給し得たであろう扶助料は、右不法行為による損害としての逸失利益には当たらないと解するのが相当である。

終わりに

以上、交通事故による消極損害に含まれる年金受給者と逸失利益除の関係について確認いたしました。

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