交通事故の損害の種類は、大きく「人身損害」と「物的損害」に分かれ、さらに人身損害は、「積極損害」と「消極損害」、「慰謝料」に分かれます。

ここでは消極損害に含まれる年少女子の後遺障害逸失利益の基礎収入について解説していきます。

年少女子の基礎収入

年少女子の基礎収入については、女性労働者の学歴計・全年齢平均賃金を基礎とする裁判例と男女合わせた全労働者の学歴計・全年齢平均賃金を基礎とする裁判例があります。

最近では、男女合わせた全労働者の賃金センサスを用いることが増加しています。

年少女子の基礎収入に関する主な判例

[最判昭和54年6月26日裁判集民127号127頁]

亡Aの得べかりし利益の喪失による損害賠償を算定するにあたり、原審が賃金センサス昭和50年第1巻第1表、産業計、企業規模計、学歴計18歳ないし19歳の女子労働者の平均給与額を基準として収入額を算定したとしても、交通事故により死亡した幼児の将来得べかりし収入額の算定として不合理なものとはいえず、原判決に所論の違法はない。

[最判昭和56年10月8日裁判集民134号39頁]

交通事故により死亡した幼児(当時満8歳の女児)の将来の得べかりし利益の喪失による損害賠償額を算定するにあたり、賃金センサスによるパートタイム労働者を除く女子、労働者・産業計、学歴計の表による各年齢階級の平均給与額を基準として得べかりし収入額を算定したとしても、交通事故により死亡した幼児の将来の収入額の算定として不合理なものとはいえない。

[最判昭和61年11月4日裁判集民149号71頁]

原審が、交通事故により死亡した幼児(本件事故当時満1歳の女児)の将来の得べかりし利益の喪失による損害賠償額を算定するにあたり、昭和57年賃金センサス第1巻第1表の産業計・企業規模計・学歴計の女子労働者の全年齢平均賃金額を基準として収入額を算定したうえ、その後の物価上昇ないし賃金上昇を斟酌することなくライプニッツ式計算方法により民法所定の年5分の利率による中間利息を控除し、その事故時における現在科学を算定したことは、交通事故により死亡した幼児の将来得べかりし利益の算定として不合理なものとはいえない。

[最判昭和62年1月19日民集41巻1号1頁]

死亡時に現実収入のない就労前の年少女子の場合には、当該女子の将来の就労の時期内容程度及び結婚後の職業継続の有無と将来につき不確定な要因が多いのであるが、原審が被害者の将来の得べかりし利益の喪失による損害賠償額を算定するにあたり、賃金センサス昭和56年第1巻第1表中の女子労働者、旧中・新高卒、企業規模計(パートタイム労働者を除いたもの)の表による平均給与額を基準として収入額を算定したことは、交通事故により死亡した女子の将来の得べかりし利益の算定として不合理なものとはいえない。

[東京高判平成13年8月20日交民34巻4号845頁]

「11歳の女児の死亡による逸失利益について」高等学校卒業までか、少なくとも義務教育を終了するまでの女子年少者については、逸失利益算定の基礎収入として賃金センサスの女子労働者の平均賃金を用いることは合理性を欠くものといわざるを得ず、男女を併せた全労働者の平均賃金を用いるのが合理的と考えられるのであって、このように解しても、逸失利益を過大に認定することにはならないものというべきである。

[東京高判平成13年10月16日交民34巻6号1818頁]

「11歳の女児の死亡による逸失利益について」従来の判例・実務は、できる限り蓋然性のある逸失利益算定の方法として、賃金センサスの男女別平均賃金を基礎収入とする方法を採用した。

後記のとおり、賃金センサスの数値は現実の労働市場における賃金の実態を反映していると解され、また、実態を反映する統計的数値に基づく推認は、蓋然性の証明において通常用いられる方法であるから、他により正確で利用可能な統計的数値等の資料がない場合には、従来の算定方法は、逸失利利益の算定方法として合理的なものであるということができる。

終わりに

以上、交通事故による消極損害に含まれる年少女子の後遺障害逸失利益の基礎収入について確認いたしました。

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