突然、交通事故に遭い損害を受けたとき、保険会社などに対し交通事故による損害を請求し、賠償してもらうこととなります。

交通事故による損害賠償の請求先は、大きく次のように分かれます。

  • 自動車保険
  • 社会保険

それでは、交通事故と自動車保険および社会保険との関係について確認していきましょう。

自動車保険

交通事故にあった被害者は、加害者に対して損害賠償請求をすることができますが、加害者が無資力であった場合、被害者は損害をてん舗することができません。

そのため、損害のてん補を確実にする自動車保険は極めて有用であるといえます。

そして、自動車保険は、以下の通り自賠責保険と任意保険に分類されます。

自賠責保険

自賠責保険とは

自賠責保険は、自動車損害賠償保障法第5条に基づき、契約が義務付けられている被害者保護を目的とした強制保険です。

自賠責保険は、人身損害を対象としているため、物損に対する補償はありませんが、義肢や眼鏡等の費用は人身損害として補償の対象となることがあります。

保険金額と支払基準

自賠責保険の保険金額は、自動車損害賠償保障法第13条に基づく自動車損害賠償保障法施行令第2条によって、上限が定められています。

自動車保険の保険金額の上限は以下の通りです。

自賠責保険の保険金額の上限 死亡による損害に対して3,000万円支払われる 死亡に至るまでの障害による損害に対して120万円支払われる 障害による損害に対して120万円支払われる 後遺障害による損害に対して75万円~4,000万円支払われる

自賠責保険の保険金等は、「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準(平成13年12月21日金融庁・国土交通省告示第1号)」に基づき実際の支払金額が決定されます。

保険金の請求

加害者請求(15条請求)

加害者が、被害者からの請求に基づいて支払った賠償金の額の限度で、加害者が加入する自賠責保険会社に対して保険金等を請求することができる制度です。

被害者請求(16条請求)

被害者が、加害者が契約している自賠責保険会社に対して直接保険金等を請求することができる制度です。

被害者請求は、被害者自身が様々な手続きを行わなければならないという「手続きの頓挫さ」はありますが、加害者が損害賠償金を支払わない場合や示談が成立していない場合にも、被害者は早期に保険金等の支払いを受けることができます。

一括払制度と事前認定

一括払制度とは、加害者が契約している任意保険会社が、自賠責保険と任意保険の賠償金を一括して被害者に支払う制度です。

治療費は医療機関に対して、その他通院交通費や休業損害等は被害者に対して、それぞれ直接支払われます。

任意保険会社は一括払いをした後、自賠責保険金相当額を自賠責保険会社に対して求償します。

一括払制度は、被害者にとっては、自賠責保険会社と任意保険会社の両方に請求する必要がないといったメリットがあります。

また、保険会社にとっては、病院から直接診断書や診療報酬明細書を受領することにより治療内容等を把握できるといったメリットがあるため、広く用いられています。

任意保険会社が自賠責保険会社に求償する際、裁判所が作成した和解調書が存在しても、診断書や診療報酬明細書、休業損害証明書等の損害を立証する資料の提出を求めることがあります。

また、交通事故により後遺障害が残存した場合には、後遺障害等級認定の手続きも任意保険会社が行います(事前認定といいます)。

任意保険

任意保険とは

任意保険は、自賠責保険(強制保険)とは別に、任意に加入する民間の保険で、その内容も多種多様となっています。

一般的に自賠責保険だけでは十分な補償をすることができないことが多く、自賠責保険でカバーできない部分を任意保険によって補うため、ほとんどの自動車の利用者が加入しています。

任意保険の種別

任意保険は、各社が独自の約款を作成していますが、標準的なものは以下の通りです。

  • 対人賠償責任保険
  • 対物賠償責任保険
  • 人身傷害補償保険
  • 自損事故保険
  • 無保険者傷害保険
  • 搭乗者傷害保険
  • 車両保険等

弁護士費用特約(弁護士特約)

弁護士費用特約は、被保険者が加害者側に対して損害賠償請求を行う際に生じる弁護士費用や、行政書士などへの法律相談をする際の費用を保険会社が保険金で支払う特約で、任意保険に付随して加入することができるものです。

一般的には300万円までの弁護士費用や訴訟費用、10万円までの法律相談費用を保険会社が負担することとなっているものが多いです。

被保険者にとっては、軽微な交通事故で弁護士に依頼をした場合に費用倒れを回避できるといったメリットや、被保険者に過失がなく保険会社による示談代行をしてもらえない場合であっても、費用を心配することなく弁護士に示談交渉を依頼することができるといったいったメリットがあります。

また、弁護士にとっては、弁護士報酬が保険会社から支払われるため、委任を受けやすくなるといったメリットがあります。

社会保険

労災保険

被害者が業務遂行中または通勤中に交通事故に遭い負傷した場合には、所轄の労働基準監督署長に第三者行為災害届を提出して、労災保険による補償を受けることができます。

交通事故の被害者は、労災保険と自賠責保険のいずれかを選択して利用することができるます。

通達(昭和42年12月16日基発第1305号)により、原則として自賠責保険の支払いを先行させることとなっていますが、通達には強制力がないため、被害者が希望すれば、労災保険の給付を先行させることができます。

労災保険は、自賠責保険に比べて治療費、休業損害、慰謝料の面で補償範囲が狭くなりますが、被害者の過失相殺を問題としないことから、被害者の過失割合が大きい場合や加害者と過失割合につき争いがある場合には、労災保険が先行して利用されることが多いです。

また、自賠責保険の後遺障害等級認定は、原則として労災保険の認定基準に準拠する事とされていますが、同じ障害でも労災保険が認定した等級と自賠責保険で認定した等級が異なることがあります。

健康保険

被害者が業務外で交通事故に遭い負傷した場合、被害者自身が健康保険を利用することを希望し、健康保険の窓口に「第三者行為による傷病届」を提出すれぼ、健康保険の給付を受けることができます。

健康保険を利用する場合、「第三者行為による傷病届」の提出など、手続きは頓雑になりますが、労災保険と同様に被害者の過失相殺を問題としないことから、加害者が新保険に加入しておらず治療費が高額になる場合や被害者にも過失がある場合には、健康保険を利用することが多くなります。

健康保険組合は、立て替えた治療費のうち、加害者の過失割合に応じた負担部分を加害者の自賠責保険会社や新保険会社に求償することができます。

終わりに

以上、交通事故と保険の関係について確認いたしました。

神戸の交通事故被害者応援団では、突然の交通事故により受傷した被害者が安心して治療に専念し、少しでも早い社会復帰を目指してサポートいたします。

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