交通事故の損害の種類は、大きく「人身損害」と「物的損害」に分かれ、さらに人身損害は、「積極損害」と「消極損害」、「慰謝料」に分かれます。
ここでは消極損害の休業損害に含まれる有給休暇について解説していきます。
交通事故と有給休暇
有給休暇を使用した場合には、本来、他に利用できた有給休暇を事故のために使用しなければならなかったのであり、その結果、本来、有給休暇を使用できたのに欠勤しなければならなくなることが考えられます。
この失った余暇等のための時間は、財産的価値を有するものと考えることができるため損害として認められています。
個人事業者の場合、家族等が事業を手伝っていることも多く、事業内容や規模、当該事業者や家族の各職務内容等に基づいて、当該事業者の寄与部分から判断されることとなります。
有給休暇に関する主な判例
[最判平成7年10月24日交民28巻5号1260頁]
原審が証拠として掲げるその調査嘱託の回答書によれば、訴外会社は、被上告人が本件事故を原因として休業した期間は平成元年11月1日から翌年1月3日までの64日間であり、これ以外に被上告人の休業・欠勤はなく、この期間中は社内規定により立替支給金として給与を支払ったが、本件事故の損害賠償問題が解決した時点で日上告人から右支給額合計151万8049円を払い戻してもらう旨回答していることが明らかである。
そうだとすれば、訴外会社が休業・欠勤扱いしていない42日の通院日については、被上告人は訴外会社から正規に給与支給されており、後にこれを払い戻すことにはならないのであるから、右42日分につき当然に被上告人に収入の減少が生じ、損害が発生したとすることはできない筋合いである。
もっとも、前記のとおり、被上告人は、生命保険の外交員として稼働しているところ、記録によれば、被上告人が訴外会社から支給される給与には、固定給の外、保険契約の獲得実績により額が決まる能率給があることがうかがわれるから、通院による時間の損失が保険契約の獲得実績に影響を与え、右42日の通院日について被上告人に何らかの損害が生じる可能性は否定し得ないが、原審の前記判示はこれをいうものではない。
[最判昭和43年8月2日民集22巻8号1525頁]
事業主が生命もしくは身体を侵害されたため、その企業に従事することができなくなったことによって生ずる財産上の損害額は、原則として、企業収益中に占める企業主の労務その他企業に対する個人的寄与に基づく収益部分の割合によって算定すべきであり、企業主の死亡により廃業のやむなきに至った場合等特段の事情の存しないかぎり、企業主生存中の従前の収益の全部が企業主の右労務等によってのみ取得されていたと見ることはできない。
したがって、企業主の死亡にかかわらず企業そのものが存続し、収益をあげているときは、従前の収益の全部が企業主の右労務等によってのみ取得されたものではないと推定するのが相当である。
ところで、原審の確定した事実によれば、Aの営業収益額は昭和27年から同31年までの5年間の平均で年間978,044円であり、同人死亡後その営業を承継した被上告人らがあげた同33年度の営業収益は208,318円であるというのである。
したがって、被上告人らのあげた同34年度以降の営業収益が右同33年度の営業収益でと同額であるとすれば、特段の事情のないかぎり、右説示に照らして、Aが生命を侵害されて企業に従事することができなくなったことによって生ずる昭和33年度以降の1年あたりの財産上の損害額は右978,044円から208,318円を差し引いた額であると推定するのが相当である。
しかるに、原判決は右損害額の算定の基準として、なんら特段の事情を示すことなく、Aが従前取得していた収益全額を持ってすべきものとしているのである。
しからば、原判決には、判決に影響及ぼすことの明らかな法令の違背および被上告人らの同34年度以降の営業収益について審理を尽さない違法があるものというべく、論旨はこの点において理由があるに帰する。
終わりに
以上、交通事故による消極損害の休業損害に含まれる有給休暇について確認いたしました。
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