
上肢障害とは
上肢とは、人間の肩、腕および手を指し、肩関節、肘関節、手関節が3大関節とされています。
肩関節にある筋腱は腱板、手関節にある靭帯は三角繊維軟骨複合体(以下、「TFCC」といいます)とそれぞれ呼ばれます。
人の日常生活の動作において欠かせない組織である腱板またはTFCCが交通事故により損傷した場合、日常生活及び労働に支障をきたすことから賠償の対象となっています。
腱板や靭帯といった軟部組織の損傷は、加齢による変性、労働およびスポーツなどによっても損傷を受けることから、交通事故との因果関係について争点となりやすいため、早期の検査を受けておくことが必要です。
上肢障害の治療
医師による診断
交通事故の後、肩から手にかけて痛みやしびれがあるときは、病院に向かい医師による診断および治療を受けてください。
交通事故現場では動揺して気付かないこともありますが、どんな些細なことでも身体に異変を感じるときは、救急車を利用するなど、至急、病院へ向かい受診することをお勧めいたします。
事故直後に病院に行かず、交通事故から数日経過して病院に向かっても、その痛みが事故によるものなのか、それとも他の原因によるものなのかが不明となります。
稀に、痛みやしびれが続くのであれば2週間後に来るよう初診時に指示する医師がいますが、後遺障害の適切な認定という観点からすぐにでも病院を変えてください。
診断時に注意すること
交通事故による痛みやしびれなどの症状を医師に伝えるときは、できるだけ正確に伝えてください。
医師は、初期の症状として患者の主張をカルテに記載します。
症状について、伝え忘れがあったまたはうまく伝わっていなかった場合、当然、その内容についてカルテに記載されることはなく、最初からその症状はなかったものとして扱われます。
そうなると、後発した痛みやしびれなどの症状については交通事故によって発生したか不明となり、後遺障害の等級が認定されないまたは認定されても不本意な認定となることがあります。
検査の実施
病院での受診後、数日経っても痛みやしびれが治まらないときは、早期にMRI検査を実施してください。
交通事故によるケガのため病院へ向かった場合、必ずと言っていいほどの確率でレントゲン検査は実施されますが、MRI検査はあまり実施されません。
肩や手に痛みがあっても、レントゲンで骨折が確認されなければ特に治療されないことがありますが、腱板やTFCCを損傷していることがあるので注意してください。
腱板や靭帯の損傷を確認する診断は、レントゲンではなくMRIを用いなければ判断できません。
通院している病院にMRIの設備がなくても、医師に伝えると紹介状を作成してくれるため、紹介状記載の病院でMRI検査を受けることができます。
MRI検査では、外傷性の異常はなく、加齢による身体の変化(経年変化)とされることが多いです。
経年変化と認められる場合であっても、膨隆や圧迫などの異常個所が発見されれば後遺障害は認定されやすくなります。
通院期間中
交通事故によりケガをした部位およびその周辺に継続して痛みやしびれがある場合、医師の指示によるリハビリを受けたり、診察および治療を受けてください。
診察および治療は通院する度に受診する必要はなく、2週間や1カ月に1回程度でも構いません。
交通事故によるケガのリハビリは、週に3回~4回受けることをお勧めしています。
リハビリや治療及び診察の頻度は、痛みやしびれといった症状が最も強いため、交通事故直後が高くなり、時間の経過とともに低くなっていくものだと考えられています。
明確な基準の公表はありませんが、腱板や靭帯を治療するための通院回数が少ないまたは通院期間中に2週間以上治療を受けていない期間があるなどに該当すれば、後遺障害が認定されることはほとんどありません。
継続してリハビリや治療を受けているにも関わらず、痛みやしびれが続くのであれば、上肢障害の場合、最低半年間は通院してください。
通院期間についても明確な基準の公表はありませんが、半年未満で治療を終えた場合において後遺障害が認定されたことはありません。
整骨院・接骨院への通院
交通事故の治療のため、整骨院や接骨院に通院すること自体は問題ありません。
ただし、後遺障害と認定されるためには、原則として医師が在籍する病院への一定程度の通院が要件とされています。
最高裁判所は判例で、整骨院および接骨院等による交通事故の治療が例外的に通院と認められるのは次のいずれかに限ると明示しています。
- 医師の指示がある場合
- 症状により有効かつ相当な場合
病院と並行して整骨院や接骨院へ通院すること自体は構わないですが、病院への通院実績と混同してしまった場合、通院回数の不足を理由に後遺障害と認定されなくなることがあります。
上肢障害と後遺障害
症状固定
医師から症状固定予定日を告げられたら、後遺障害診断書を作成する準備を始めます。
症状固定とは、そのまま治療を継続しても著しい改善が見込めなくなった状態のことです。
【注意】症状固定日は医師が決めるもので、保険会社が医師に指示すものではありません。
上肢障害の後遺障害診断書には、レントゲンやMRIなどの画像検査結果および徒手筋力テストや感覚(触覚・痛覚・温度覚・振動覚)検査などの電気生理学的検査の結果を記載してもらいます。
完成した後遺障害診断書は、被害者請求と呼ばれる方法で自賠責保険会社に提出し、後遺障害の等級認定を申請します。
神戸の交通事故被害者応援団へご依頼いただいた場合、症状固定日におこなわれる神経心理学的検査や電気生理学的検査に同行し、適切な後遺障害等級認定に向けた後遺障害診断書の作成を医師に指示いたします。
交通事故発生直後から症状固定日を迎えるまで準備してきた数々の資料に加え、症状固定日時点のお客さまの主張および身体の状況についての意見書を添付し、後遺障害の等級認定申請を代行いたします。
上肢障害の後遺障害の等級
上肢障害で認定される後遺障害の多くは、後遺障害14級9号の「局部に神経症状を残すもの」です。
症状が重い場合に認定される後遺障害12級6号の要件は「一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの」です。
著しく症状が重い場合に認定される後遺障害10級10号の要件は「一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの」です。
後遺障害10級10号が認定される目安は、次の通りです。
- MRI等で神経根圧迫などの明確な他覚的所見がある
- 肩や手のしびれが初診時から症状固定時まで一貫して存在する
- 肩や手のしびれの程度が治療をしても軽減していない
- 他覚的所見としびれの部位が整合している
ただし、上記の内容すべてに該当している場合であっても、後遺障害の認定は事故状況、治療状況および症状経過などが勘案されるため、必ずしも10級が認定されるとは限りません。
交通事故に詳しい専門家とは?
交通事故に関する業務を専門的に取り扱っていない場合、上肢障害についてあまり詳しくないのは仕方のないことかもしれません。
交通事故を取り扱う専門家と謳う者であっても、交通事故によって受傷した肩から手およびその周辺にかけて発生する症状に精通しているとは限りません。
交通事故に詳しい専門家とは、交通事故による治療当初から画像や各種検査の結果、医師の診断などの他覚的所見をもとに、適切な後遺障害の等級認定を見据えた治療や検査内容の実施について、被害者やそのご家族に加え治療に携わる医師に対し提案できる者のことです。
後遺障害の等級が認定されなかった場合、敏腕弁護士であってもその後の慰謝料や交通事故被害による逸失利益などを定める示談交渉や裁判手続きにおいて、納得できる結果を導き出すことはとても難しいです。
神戸の交通事故被害者応援団では、被害者の利益確保を第一の目標とし、その後の示談交渉や裁判手続きにおいて納得いく結果を導き出す後遺障害等級の認定に向け、全力で被害者およびそのご家族をサポートいたします。
後遺障害の等級認定申請の代行が完了した後の手続きについては、神戸の交通事故被害者応援団の業務に対する考え方に賛同してくださる交通事故専門弁護士へ被害者のサポートをお願いしています。
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神戸の交通事故被害者応援団は、交通事故に関する無料相談を実施しています。お気軽にご連絡ください。
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交通事故に遭うと慰謝料の請求や後遺障害認定に向けた手続きに加え事故車両の修理や廃車の手配等、被害者が行わなければならないことが多く、身体的・精神的な不安を抱いてしまうことがあります。
交通事故により被害を受けたみなさまが治療に専念できるよう、交通事故に関する煩わしい手続きを専門家が全力でサポートいたします。
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